定義
肺胞相互依存とは、個々の肺胞が独立した袋ではなく、共有する肺胞隔壁と連続する弾性線維網によって機械的に結合している性質である。一つの肺胞が縮小すると、周囲の膨張した肺胞から外向きの牽引を受け、虚脱しにくくなる。局所的な圧と表面張力の差を肺実質全体へ分散する。
イメージ
蜂の巣の一室だけをつぶそうとしても、壁を共有する周囲の部屋が引っ張って支える。肺胞も隣り合う構造が一体となっているため、一個だけが自由に縮むのではなく、周囲肺胞の容積と弾性張力に影響される。
仕組み
肺胞隔壁にはコラーゲン、エラスチン、毛細血管網が連続し、肺全体の経肺圧によってあらかじめ張力がかかっている。局所肺胞が小さくなると共有壁の形が変わり、隣接肺胞の弾性復元力が外向きに働く。この作用はLaplace圧と肺サーファクタントによる安定化を補い、無気肺領域の拡大を抑える。深吸気やPEEPは周囲肺実質を伸ばし、虚脱肺胞へ開通圧を伝える。一方、肺炎性硬化、肺線維症、肺気腫による組織破壊では牽引が不均一または消失し、局所への応力集中、気道閉鎖、過伸展が起こる。細気管支も肺胞付着によって外側から支えられるため、肺胞相互依存は気道開存にも影響する。
例
軽度の依存部無気肺では、周囲肺実質が十分に膨張していれば、深呼吸や適切なPEEPによって放射状牽引が増し、再膨張を助ける。肺気腫では肺胞壁破壊により細気管支を外から引く支持が減り、呼気時に気道がつぶれやすくなる。