定義
抗原ドリフトは、表面抗原をコードする遺伝子へ小さな変異が蓄積し、既存免疫から徐々に逃避する現象である。抗原シフトは、異なる株の分節ゲノムが同一細胞内で再集合するなどして、主要抗原が不連続かつ大幅に変化する現象である。
イメージ
ドリフトは毎年少しずつ顔つきが変わること、シフトは顔全体が別人のように入れ替わることに近い。変化が大きいほど、集団が持つ既存免疫が通用しにくい。
仕組み
RNAウイルスは複製誤りが多く、免疫選択下で抗原部位の変異株が増えるとドリフトが進む。分節ゲノムを持つウイルスでは、異なる株が同一細胞へ共感染するとゲノム分節の組合せが入れ替わり、新しい抗原構成を持つ子孫が生じ得る。ドリフトは季節性流行やワクチン株更新の要因となり、シフトは集団免疫が乏しい場合に大規模流行の契機となる。
例
表面蛋白の抗原部位に少数のアミノ酸置換が蓄積して既存抗体の結合が弱くなるのがドリフトである。異なる宿主由来株の遺伝子分節が再集合し、新しい主要抗原の組合せを生じるのがシフトである。