定義
動脈コンプライアンスは、動脈圧の変化に対して動脈容積がどれだけ変化するかを示す性質で、C = ΔV / ΔPで表される。ウインドケッセル効果は、大動脈などの弾性動脈が収縮期の一回拍出量の一部を一時的に受け入れ、拡張期に弾性反跳によって末梢へ送り出すことで、間欠的な心拍出をより連続的な血流へ変換する作用である。
イメージ
心臓を断続的に水を押し出すポンプ、大動脈を弾性のある貯水槽と考える。ポンプが水を押し出す間に貯水槽が膨らんで一部を受け止め、ポンプが止まる間にも縮みながら水を送り続けるため、末梢の流れは完全には途切れない。
仕組み
収縮期には左室から大動脈へ流入する血液量が、その瞬間に末梢へ流出する量を上回るため、大動脈壁が伸展して血液と弾性エネルギーを蓄える。拡張期には弾性反跳によって蓄えた血液を末梢抵抗血管へ送り、拡張期圧と冠血流を支える。単純な2要素ウインドケッセルモデルでは、動脈コンプライアンスCと末梢抵抗Rの積である時定数τ = R × Cが拡張期圧の減衰速度を規定する。加齢や動脈硬化でコンプライアンスが低下すると、同じ一回拍出量でも収縮期圧と脈圧が上昇し、拡張期圧の維持が弱くなりやすい。
例
若年者の弾性に富む大動脈では、左室から急速に血液が拍出されても圧上昇が緩衝される。動脈硬化が進むと大動脈が膨らみにくくなるため、同じ一回拍出量でも収縮期圧が高くなり、脈圧が拡大する。拡張期の反跳も弱くなるため、拡張期圧や冠灌流へ影響する。