定義
動脈インピーダンスは、動脈圧と血流の周波数成分の比として表される、動脈系の拍動に対する負荷である。一定流に対する末梢血管抵抗とは異なり、血管抵抗、動脈コンプライアンス、血液の慣性、脈波伝播、反射を含む。波強度解析は、同時に測定した圧と血流速度の変化から、心臓や末梢で生じた前進波・後退波の方向と強さを評価する。
イメージ
拍動ポンプが血液を送るときには、細い血管の抵抗だけでなく、動脈を膨らませ、血液を加速し、反射して戻る波にもエネルギーを使う。インピーダンスは周波数ごとの押しにくさ、波強度はどの瞬間にどちら向きの波が血流を加速または減速したかを示す。
仕組み
圧P(t)と流量Q(t)をフーリエ変換すると、各周波数でZ(ω)=P(ω)/Q(ω)としてインピーダンスが求められる。周波数0の成分は主に末梢血管抵抗を表し、高周波域の特性インピーダンスは近位大動脈の径、壁硬度、血液密度に依存する。動脈コンプライアンスが低下すると脈波速度が上昇し、反射波が収縮期早期へ戻ることで左室後負荷が増える。波強度解析では、圧変化dPと速度変化dUの積dI=dP・dUを用いる。心室駆出で生じる前進性圧縮波は血流を加速し、末梢から戻る後退性圧縮波は血流を減速させる。拡張期吸引や冠循環では減圧波も重要となる。インピーダンス解析と波強度解析は、同じ動脈系を周波数領域と時間領域から見たものと考えられる。
例
大動脈硬化が進むと脈波速度が上がり、反射波が早く戻って中心収縮期圧と心筋酸素需要を増やす。冠動脈では左室弛緩に伴って後退性減圧波が生じ、拡張期冠血流を促す。