定義
ATP枯渇は細胞のエネルギー依存機能が維持できなくなる状態であり、ミトコンドリア障害は酸化的リン酸化低下、活性酸素産生、膜透過性変化、アポトーシス蛋白放出を引き起こす。両者は細胞障害の増幅回路を形成する。
イメージ
ATPは細胞の共通通貨、ミトコンドリアは主要発電所に相当する。発電量が落ちるとポンプ、合成、修理が止まり、発電所自体が壊れると回復のための電力も作れなくなる。
仕組み
低酸素、虚血、毒物などで酸化的リン酸化が低下するとATP依存性Na+/K+ポンプが失調し、Na+・水流入による細胞腫脹が起こる。Ca2+ポンプ低下は細胞質Ca2+上昇を招き、解糖依存化でグリコーゲン消費、乳酸蓄積、pH低下が進む。粗面小胞体からリボソームが外れ蛋白合成も低下する。ミトコンドリア膜透過性遷移孔が持続的に開くと膜電位が消失しATP産生が回復不能となる。外膜透過化でシトクロムcなどが放出されればカスパーゼ系が活性化し、壊死とアポトーシスの双方へつながる。
例
冠動脈閉塞では心筋の酸化的リン酸化が急減し、収縮能低下、細胞腫脹、乳酸蓄積が生じる。虚血が短ければ回復可能だが、長引くとミトコンドリアと膜の不可逆的障害へ進む。