定義
細菌増殖曲線は、一定量の培地へ細菌を接種したbatch cultureで、生菌数または菌量の時間変化を四相に整理したモデルである。遅滞期、対数増殖期、定常期、死滅期からなり、細胞分裂速度と死滅速度の関係で形が決まる。
イメージ
新しい環境へ移った集団が準備し、急速に増え、資源不足で頭打ちとなり、最後に減っていく人口曲線と考える。増殖していない時期でも細菌は代謝・適応を行う。
仕組み
遅滞期では細胞数増加は乏しいが、培地に適応する酵素・リボソームを合成する。対数増殖期では一定の世代時間で指数関数的に分裂し、N = N₀ × 2^nで表される。細胞壁合成やタンパク質合成が活発で、多くの抗菌薬が作用しやすい。定常期では栄養枯渇、pH変化、毒性代謝物蓄積により増殖数と死滅数が釣り合い、ストレス応答、二次代謝産物、芽胞形成、persister増加が起こる。死滅期では培養可能菌数が低下するが、すべての細胞が同時に死ぬわけではない。
例
βラクタム系薬は細胞壁合成中の細菌へ作用するため、急速増殖期で効果が出やすい。一方、定常期のpersisterは遺伝的耐性がなくても一時的に生存しやすい。