定義
胆汁生成は、肝細胞が門脈血・類洞血から物質を取り込み、代謝・抱合した後、血管側と反対の毛細胆管側膜から胆汁中へ分泌する過程である。肝細胞が作った胆汁は胆管上皮によるHCO₃⁻と水の分泌で修飾される。胆汁は脂質消化に必要な胆汁酸を供給するとともに、コレステロール、ビリルビン、薬物代謝物など水に溶けにくい物質の排泄経路となる。
イメージ
肝細胞は血液から受け取った物質を選別し、血管側とは反対の細い胆汁の通路へ送り出す。胆汁酸の能動輸送によって浸透圧差が生じ、水が追従して胆汁流が形成される。
仕組み
類洞側ではNTCPやOATPが胆汁酸・有機陰イオンを肝細胞へ取り込む。毛細胆管側ではBSEPが胆汁酸を、MRP2が抱合ビリルビンと有機陰イオンを、MDR3がホスファチジルコリンを、ABCG5/G8がコレステロールを分泌する。胆汁酸とリン脂質は混合ミセルを形成し、胆汁酸の界面活性作用から毛細胆管膜を守る。密着結合は胆汁と血液を隔て、輸送された溶質に水が伴って胆汁流が生じる。胆管上皮ではセクレチン–cAMP–CFTR経路とCl⁻/HCO₃⁻交換体がアルカリ性の水分を加える。胆汁酸依存性胆汁流と非依存性胆汁流があり、核内受容体FXRなどが胆汁酸合成と輸送体発現へ負のフィードバックをかける。
例
食後に胆嚢から排出された胆汁酸の大部分は回腸末端で再吸収され、門脈を通って肝臓へ戻り、再び胆汁中へ分泌される。BSEP機能低下や阻害では胆汁酸が肝細胞内へ蓄積し、胆汁うっ滞性肝障害を起こし得る。MDR3機能低下では胆汁中リン脂質が減り、胆管上皮障害が生じやすい。