定義
音源定位は、両耳間時間差、両耳間音圧差、耳介による周波数特性などを利用して、音源の方向や距離を推定する感覚処理である。低周波音では左右耳への到達時刻・位相差が、高周波音では頭部による遮蔽で生じる音圧差が主な手掛かりとなる。耳介の形は上下方向や前後方向の判断に必要な周波数情報を付加する。
イメージ
左側から来た音は、右耳よりわずかに早く、やや大きく左耳へ届く。脳幹は左右の入力が最もよく一致する時間差と強さの差を読み取り、音がどちら側から来たかを計算する。耳介の凹凸は音の周波数成分を方向ごとに変え、上下や前後の情報を付け加える。
仕組み
蝸牛神経核からの両側入力は上オリーブ核群へ入る。内側上オリーブ核は、左右から時間をそろえて到達した低周波の興奮性入力を検出し、両耳間時間差を表す。外側上オリーブ核は、同側耳からの興奮性入力と、台形体内側核を経由する対側耳由来の抑制性入力を比較し、両耳間音圧差を表す。低周波では音の波長が頭部より長く、位相情報を利用しやすい。高周波では頭部による音の遮蔽が大きく、左右の音圧差が有効になる。これらの情報は下丘、内側膝状体、聴覚皮質で統合される。耳介と頭部による方向別の周波数特性は、上下・前後の識別を助け、頭部を動かすことも曖昧さの解消に役立つ。
例
右側から高周波音が来ると、右耳には強く、左耳には頭部で遮られた弱い音が届くため、外側上オリーブ核の左右差が大きくなる。低周波音では、左右耳へ届く位相の微小なずれを内側上オリーブ核が比較する。片耳を塞ぐと水平面の定位は悪くなるが、時間をかけて片耳性の周波数情報へ再適応することがある。