定義
因果ダイアグラム、とくに有向非巡回グラフは、変数を節点、直接的な因果関係を矢印として表し、曝露から転帰へ至る因果経路と、非因果的な裏口経路を明示する道具である。コライダーは二本以上の矢印が入る共通結果であり、通常は経路を閉じている。しかしコライダーまたはその子孫で層別、回帰調整、対象者選択を行うと、もともと無関係だった原因同士に見かけの関連が生じる。
イメージ
交絡因子は二つの方向へ枝分かれする分岐点なので、因果効果を推定するにはその経路を閉じる必要がある。コライダーは二つの経路が合流する閉じた門である。合流点を条件として対象を選ぶと門が開き、元は無関係な二つの原因が関連して見える。
仕組み
有向非巡回グラフでは、曝露Xと転帰Yを結ぶ経路を列挙し、Xへ向かって矢印が入る裏口経路を適切な共変量で閉じる。共通原因CがXとYの双方へ矢印を出す場合、X ← C → Yという交絡経路が開いているため、Cは調整候補となる。媒介因子MはX → M → Yという因果経路上にあり、総効果を推定する際に調整すると、効果の一部を除いてしまう。コライダーSはX → S ← Yという構造を通常閉じているが、Sで層別・調整・研究参加者選択を行うとXとYの原因が条件付きで関連する。入院患者だけ、検査陽性者だけ、生存者だけを対象にする研究では、この選択が複数原因の共通結果になっていないか確認する。矢印方向は統計データだけでなく、医学的・生物学的知識に基づいて定める。
例
ある曝露と疾患がどちらも入院確率を高める場合、入院患者だけを解析すると、一般集団では無関係でも曝露と疾患が関連して見えるBerkson型バイアスが生じ得る。また、治療後に変化した共通結果を調整すると、治療効果推定が歪むことがある。