定義
中心体周期とは、母中心小体と娘中心小体からなる中心体がS期に一度だけ複製され、G2期からM期に成熟・分離して、紡錘体の二つの極を形成し、分裂後に各娘細胞へ一組ずつ受け渡される過程である。中心体は中心小体と中心小体周囲物質からなり、γチューブリン環状複合体を集めて微小管の形成と配置を調節する。
イメージ
染色体を左右へ引き分けるには、互いに向かい合う二つの糸巻き拠点が必要である。中心体は分裂直前に無制限に増えるのではなく、細胞周期ごとに一度だけ複製され、二つに離れて紡錘体極となり、そこから伸びる微小管が染色体と細胞皮質を結ぶ。
仕組み
G1期の中心体には直交する母中心小体と娘中心小体があり、S期開始時にPLK4、STIL、SAS-6などが既存中心小体の近傍で新しい中心小体の形成を始める。複製は一周期に一度だけ起こるよう厳密に制御される。G2期には中心小体周囲物質が増え、CDK1、オーロラAキナーゼ、PLK1によって中心体が成熟する。キネシン5などのモータータンパク質と微小管の力で二つの中心体が分離し、星状微小管、極間微小管、動原体微小管からなる紡錘体が形成される。中心体を持たない卵母細胞などでも微小管は自己組織化できるが、体細胞では中心体が紡錘体形成を速く安定にする。中心体が過剰な細胞では多極紡錘体が生じやすく、腫瘍細胞は複数の中心体を二群へまとめて見かけ上の二極性を保つことがある。
例
分裂前期には二つの中心体が核の反対側へ移動し、核膜崩壊後に動原体微小管が染色体へ結合する。中心体数が過剰な腫瘍細胞では、そのままでは致死的な染色体分配異常が起こるため、複数の中心体を二つの極へまとめる機構が生存に寄与することがある。