定義
クロージングボリューム(CV)は、最大吸気位から呼出する過程で下側肺の末梢気道閉鎖が始まってから残気量へ達するまでの容量である。クロージングキャパシティ(CC)はCVと残気量(RV)の和、すなわちCC = CV + RVで表される。通常は機能的残気量(FRC)がCCを上回るが、FRCが低下するかCCが上昇すると、一回換気の呼気終末前から末梢気道閉鎖が起こる。
イメージ
肺をしぼませると、重力で圧迫される下側の細い気道から先につぶれる。普段の呼気終末位置よりも気道閉鎖が始まる位置が低ければ問題になりにくいが、閉鎖開始位置が上がるか呼気終末肺気量が下がると、普通の一呼吸でも下側肺へ空気が届かなくなる。
仕組み
末梢気道は軟骨を欠き、周囲肺実質から受ける放射状牽引と経肺圧によって開存している。肺気量が低下すると弾性反跳と牽引力が弱まり、胸膜圧が高い下側肺から早く閉鎖する。加齢は肺弾性反跳の低下を通じてCCを上昇させ、仰臥位、全身麻酔、肥満、妊娠、腹圧上昇はFRCを低下させる。FRC < CCになると、血流が多い下側肺の換気が呼気中に失われるため、低換気血流比やシャントに近い状態が生じる。反復する気道の開閉は局所のずり応力と無気肺形成にも関与する。
例
若年者の立位ではFRCがCCを十分上回ることが多いが、加齢によりCCが増え、仰臥位や麻酔導入でFRCが低下すると、通常の一回換気中にも末梢気道閉鎖が起こりやすい。これは術後低酸素血症や下側肺無気肺の一因となる。