定義
凝固壊死は、壊死細胞のタンパク質と分解酵素が変性し、細胞は死んでいても組織の基本構築が一時的に保存される形態である。脳を除く多くの実質臓器の虚血性壊死でみられる。
イメージ
建物の中身は機能しなくなっても、熱で固まって骨組みだけがしばらく残るイメージである。その後、炎症細胞が枠組みを徐々に除去する。
仕組み
虚血でATPが枯渇し、細胞内pH低下と蛋白変性が進むと、構造蛋白だけでなくリソソーム酵素も不活化される。このため自己融解が遅れ、好酸性の無核細胞として輪郭が残る。周辺から好中球、続いてマクロファージが侵入し、壊死組織を分解・貪食する。臓器の再生能と壊死範囲に応じて再生または線維性瘢痕へ置換される。心臓、腎臓、脾臓などの梗塞で典型的だが、感染による蛋白凝固や化学傷害でも類似形態を示すことがある。
例
冠動脈閉塞後の心筋では、壊死心筋細胞の輪郭がしばらく保たれ、核消失と細胞質好酸性化がみられる。その後マクロファージが除去し瘢痕化する。