定義
側副換気とは、気管支・細気管支の通常の縦方向経路以外を通って、隣接する肺胞、小葉、肺葉間でガスが移動する現象である。Kohn孔、Lambert管、Martin管などの微細交通路や不完全な葉間裂を介し、局所気道閉塞時の迂回換気と圧平衡に寄与する。
イメージ
一つの部屋への正面廊下が塞がれても、隣室との小さな扉があれば空気は横から入れる。肺にも隣り合う気腔を結ぶ細い抜け道があり、圧差が持続するとガスが回り込む。
仕組み
Kohn孔は隣接肺胞間、Lambert管は細気管支と周囲肺胞、Martin管は細気管支間の交通路として整理される。通常の気道より側副路の抵抗は高いため、健康肺の安静呼吸では寄与が小さい。しかし区域気管支閉塞やゆっくりした圧変化では、時間をかけて隣接領域からガスが流入し、無気肺を遅らせる。肺気腫では肺胞壁破壊によって側副交通が増える一方、空気捕捉も複雑になる。葉間裂が不完全なら肺葉間側副換気が成立し、気管支内一方向弁による標的肺葉縮小が効きにくくなる。人工呼吸中には肺領域ごとの時定数差によって、吸気終末や呼気中に領域間でガスが移動するペンデルフトが起こり、口元の一回換気量が小さくても局所過伸展を生じ得る。
例
区域気管支が粘液栓で閉塞しても、葉間裂や隣接小葉の側副路が発達していれば、完全な虚脱まで時間がかかる。重症不均一肺で自発呼吸努力が強いと、肺内圧差によって依存部へガスが移るペンデルフトが局所的な肺伸展を増やすことがある。