定義
競合的拮抗薬は受容体の作動薬結合部位へ結合するが、受容体を活性化しない。結合が可逆的で平衡に達する単純な系では、作動薬濃度を十分に高めることで拮抗を乗り越えられるため、最大反応は保たれ、同じ反応を得るのに必要な作動薬濃度が増加する。
イメージ
同じ座席を作動薬と拮抗薬が取り合う状況に例えられる。拮抗薬が多いほど作動薬は座席を確保しにくいが、作動薬を十分増やせば必要な数の座席を占められる。
仕組み
作動薬A、拮抗薬B、受容体Rが同じ部位へ可逆的に結合すると、Bの存在によりAの受容体占有率が低下する。単純な競合では用量反応曲線はほぼ平行に右方移動し、最大反応は変わらない。ある反応を得るために拮抗薬存在下で必要な作動薬濃度を、拮抗薬非存在下の濃度で割った値を用量比という。Schild解析では用量比と拮抗薬濃度の関係から拮抗薬の親和性を評価し、傾きが1に近いことは単純な競合的拮抗を支持する。 Schild解析で得られるpA₂は、単純競合系では用量比が2となる拮抗薬濃度の負の常用対数に相当し、拮抗薬親和性の尺度となる。ただし、受容体と薬物が平衡に達し、作動薬と拮抗薬が同じ受容体集団へ作用することが前提である。
例
アトロピンはムスカリン受容体でアセチルコリンと競合し、ナロキソンはオピオイド受容体で作動薬と競合する。実験系では拮抗薬濃度を上げるほど、同じ反応を得るために高い作動薬濃度が必要となる。 拮抗薬濃度を複数段階で変えて曲線の平行移動を確認すると、単一濃度だけを見るより競合性を判断しやすい。