定義
CYP誘導は核内受容体などを介して特定CYP分子種の転写・蛋白量を増加させる現象である。CYP阻害は競合、非競合、機序依存的不活化などにより酵素活性を低下させる現象で、いずれも基質薬のクリアランスを変える。
イメージ
代謝酵素を工場の作業員と考えると、誘導は作業員を増員すること、阻害は作業員の手を止めることに相当する。増員には数日かかるが、阻害は阻害薬が到達すると比較的速く起こり得る。
仕組み
誘導では遺伝子発現と蛋白合成が必要なため発現・消退に時間を要し、基質薬のAUCと半減期を低下させることが多い。阻害は酵素活性を直接低下させ、基質薬のAUC上昇と半減期延長を起こし得る。基質薬が活性型なら誘導で効果低下、阻害で毒性増加が典型だが、プロドラッグでは方向が逆になることがある。影響の大きさは分子種への選択性、肝抽出比、代替経路、腸管CYP、投与量、遺伝子多型で変わる。
例
あるCYPで主に代謝される薬物へ強い阻害薬を追加すると、同じ用量でも血中濃度が上昇する。逆に誘導薬を開始すると効果低下が遅れて現れ、誘導薬中止後もしばらく影響が残ることがある。