定義
脱落膜化は、子宮内膜間質の線維芽細胞がプロゲステロンとcAMPの作用を受け、大型で分泌能の高い脱落膜細胞へ分化する過程である。着床の窓は、子宮内膜が胚盤胞の接着と侵入を受け入れやすくなる限られた期間を指す。上皮の受容性、間質の脱落膜化、血管変化、局所免疫環境が時間的にそろうことで成立する。
イメージ
子宮内膜は、いつでも胚を受け入れる粘着面ではない。月経周期の特定時期だけ、表面の接着性、間質の栄養供給、血管、免疫環境を受け入れ状態へ切り替える。胚の発育時期と子宮内膜の準備時期がずれると、双方に大きな異常がなくても着床効率が下がる。
仕組み
エストロゲンは子宮内膜を増殖させ、排卵後のプロゲステロン受容体シグナルが間質細胞でFOXO1、HOXA10、C/EBPβなどを誘導する。cAMP–PKA系とプロゲステロン作用により、プロラクチン、IGFBP1、細胞外基質、サイトカインの発現が変化して脱落膜細胞の性質が形成される。子宮内膜上皮ではMUC1の分布、インテグリン、LIF、HB-EGFなどの接着・受容関連因子が時間依存的に変わる。子宮NK細胞、マクロファージ、制御性T細胞は栄養膜の侵入を許容しつつ過剰な侵入を抑え、らせん動脈改変を支える。着床は接近、接着、侵入の順に進み、プロゲステロンに曝露された期間と胚盤胞の発育段階が同期することが重要である。ヒトでは脱落膜化が着床前から周期性に進む点も特徴である。
例
黄体期のプロゲステロン作用期間が短すぎたり、胚発育が遅れたりすると、胚盤胞が子宮へ到達する時期と着床の窓がずれ、着床率が低下する可能性がある。培養細胞を用いる研究では、プロラクチンやIGFBP1が脱落膜化の指標として使われる。