定義
DOHaDはDevelopmental Origins of Health and Diseaseの略で、発生の重要時期に受けた栄養、酸素状態、ホルモン、ストレス、炎症、化学物質などの環境が、臓器構造、細胞数、エピジェネティック状態、内分泌・代謝の設定を長期に変え、将来の健康と疾患感受性へ影響するという枠組みである。胎児プログラミングは、その時期に形成される持続的な適応を指す。
イメージ
発達中の身体は、限られた情報から出生後の環境を予測して設計を調整する。胎内で栄養不足を経験すると省エネルギー型の適応が有利な場合があるが、出生後に栄養過多となると、予測と現実の不一致が代謝疾患の危険を高める可能性がある。
仕組み
胎盤機能不全、母体の低栄養・過栄養、糖代謝異常、グルココルチコイド、低酸素、炎症などは、胎児発育の速度と臓器への資源配分を変える。ネフロン数、膵β細胞量、骨格筋線維、脂肪細胞発達、視床下部–下垂体–副腎系の設定、血管内皮機能などの変化が成人期の表現型へつながり得る。DNAメチル化、ヒストン修飾、非コードRNA、クロマチン構造の変化は長期記憶の候補だが、関連がみられることと因果関係が証明されることは同じではない。出生後の急速な追いつき成長、食生活、運動、社会環境との相互作用が影響を増幅または緩和する。母体代謝は胎盤栄養輸送体と胎児インスリン・IGF系を介して発育を調節する。世代を越える影響も研究されているが、ヒトでの確実な証拠は慎重に評価する必要がある。
例
低出生体重と小児期の急速な追いつき成長の組合せは、後年のインスリン抵抗性や高血圧と関連する。母体糖尿病では胎児高インスリン血症と脂肪蓄積が増え、出生後の代謝疾患感受性へ影響し得る。ただし、出生体重だけから個人の将来疾患を予測することはできない。