定義
肺ガス交換の拡散障害は、肺胞–毛細血管膜を介するガス移動能力が低下し、毛細血管末端までに肺胞分圧と血液分圧が十分平衡化しない状態である。Fickの法則に従い面積、厚さ、拡散係数、分圧差に依存する。
イメージ
酸素が薄い壁を短距離で渡るなら十分間に合うが、壁が厚い、交換面が少ない、血液が速く通る状況では渡り切れない。運動時は通過時間が短くなるため障害が表面化しやすい。
仕組み
間質線維化・肺水腫は拡散距離を増やし、肺気腫・肺切除は交換面積を減らす。酸素は一酸化炭素より通常は速く平衡化するが、重度障害、低い肺胞酸素分圧、運動による毛細血管通過時間短縮で拡散制限となる。拡散能DLCOは一酸化炭素を用いて評価し、膜拡散能、毛細血管血液量、Hb濃度に依存する。補助酸素は肺胞–血液間の分圧勾配を増やし低酸素血症を改善し得る。
例
肺線維症では安静時PaO₂が保たれていても、運動で肺毛細血管通過時間が短くなると酸素平衡が不十分となり、労作時低酸素血症が目立つ。