定義
DNA修復不全は損傷DNAを正確に修復・除去する能力が低下した状態である。ゲノム不安定性は点変異、挿入欠失、コピー数変化、染色体再構成などが通常より高頻度で生じる表現型を指す。
イメージ
設計図の校正機能が壊れると、複写するたびに誤字が残り、ページの欠落や入れ替えまで増える。偶然、増殖を促す遺伝子や抑制する遺伝子へ変化が入ると腫瘍進化が加速する。
仕組み
ミスマッチ修復不全は短反復配列の長さ変化を生むマイクロサテライト不安定性を、相同組換え修復不全は二本鎖切断修復の誤りと染色体再構成を促す。ヌクレオチド除去修復不全では紫外線損傷が残りやすい。DNA損傷応答はATM/ATR、p53、細胞周期チェックポイントを介して修復、停止、老化、アポトーシスを選択する。修復欠損細胞は発癌しやすい一方、特定の残存修復経路へ依存し、合成致死を利用した治療標的となり得る。
例
BRCA1/2機能低下細胞は相同組換え修復が弱く、単鎖切断修復関連経路へ依存する。別経路も阻害すると修復不能な損傷が蓄積する合成致死が生じる。