定義
電気シナプスは、隣り合う細胞の膜にあるコネクソン同士が結合してできるギャップ結合チャネルを介し、膜電位変化を細胞から細胞へ直接伝える接合である。化学シナプスのように神経伝達物質の放出と受容を介さないため遅延が短く、多くは双方向性を示す。神経回路の同期、心筋や平滑筋の機能的合胞体、細胞間の代謝情報交換に関与する。
イメージ
化学シナプスが、いったん伝達物質を放出して相手へ情報を渡す方式だとすれば、電気シナプスは細胞間を直接つないだ電線に近い。小さな電位変化がほぼ直ちに隣へ流れるため、多数の細胞を同じリズムで活動させやすい。
仕組み
コネキシン6分子が集合して一方の細胞膜にコネクソンを作り、隣接細胞のコネクソンと接合すると連続した孔が形成される。この孔はNa⁺やK⁺などのイオンだけでなく、cAMP、IP₃、代謝物など、おおむね分子量1,000以下の小分子も通す。伝わる電位変化の大きさは、ギャップ結合の抵抗と各細胞の入力抵抗によって決まり、通常は距離とともに減衰する。チャネルの開閉はコネキシンの種類、リン酸化、膜電位、細胞内pH、Ca²⁺濃度などで調節される。多くは双方向性だが、一部には電流を一方向へ通しやすい整流性電気シナプスもある。神経系では網膜、脳幹、介在ニューロンなどの活動同期に、心筋では介在板に集積するコネキシン43などが興奮伝導に寄与する。
例
網膜の水平細胞では、電気的結合によって複数細胞の情報が共有され、広い受容野と側方処理が形成される。心房筋や心室筋では、活動電位による局所電流がギャップ結合を通って隣接心筋細胞を脱分極させ、心筋全体へ興奮を広げる。