定義
電気化学勾配は、あるイオンに働く濃度勾配と電位勾配を統合した駆動力である。イオンの正味移動方向は、膜電位Vmとそのイオンの平衡電位Eionとの差、すなわち概念的には「駆動力 = Vm − Eion」で判断できる。
イメージ
坂道と磁石が同時に粒子を引く状況に例えられる。濃度差は粒子を多い側から少ない側へ押し、電位差は電荷に応じて正負どちらかへ引く。二つの力が同方向なら移動は強く、逆向きなら相殺される。
仕組み
濃度勾配は拡散による化学ポテンシャル差を生み、膜電位は荷電粒子へ電気力を与える。両者が釣り合う電位がNernst平衡電位である。膜にチャネルが開くと、イオン電流の大きさはチャネルコンダクタンスとVm−Eionに依存する。Na⁺/K⁺-ATPaseなどの能動輸送は濃度勾配を維持し、その勾配が活動電位や二次能動輸送のエネルギー源となる。
例
静止膜電位が−70 mVでNa⁺平衡電位が正側にあると、Na⁺チャネル開口時には強い内向き電気化学勾配が生じ、膜は脱分極する。一方、K⁺では状況により外向き電流が生じる。