定義
上皮間葉転換、EMTは、上皮細胞が頂端–基底極性、カドヘリン依存性接着、基底膜との整列を低下させ、紡錘形態、細胞骨格再編、移動能を獲得する転写・エピジェネティックプログラムである。逆方向は間葉上皮転換、METと呼ばれる。
イメージ
整然と並ぶレンガ状の上皮細胞が、接着を緩めて単独で移動できる遊走細胞へ性質を変えるイメージである。完全な二者択一ではなく、上皮性と間葉性を併せ持つ中間状態も多い。
仕組み
TGF-β、Wnt、Notch、低酸素などがSNAIL、SLUG、TWIST、ZEB転写因子を誘導し、E-cadherin発現を抑え、N-cadherin、vimentin、MMPなどを増やす。細胞間接着の低下、アクチン再編、基底膜分解、極性複合体の変化が移動性を高める。胚発生では原腸形成や神経堤細胞移動に利用され、創傷治癒では一時的な可塑性を与える。慢性組織障害では線維化に、腫瘍では浸潤、幹細胞様性、治療抵抗性に関与し得る。転移先での増殖にはMET様の再上皮化が必要な場合がある。
例
神経堤細胞は発生中に上皮様構造から離脱して移動する。癌細胞は部分的EMTにより集団性を保ちながら浸潤することもあり、完全な間葉化だけが転移様式ではない。