定義
エリスロポエチンEPOは、主に腎皮質・髄質外層の尿細管周囲間質細胞で産生され、骨髄の赤芽球系前駆細胞の生存、増殖、分化を促進する糖蛋白ホルモンである。組織酸素供給低下が主要な分泌刺激となる。
イメージ
腎は血液の酸素状態を監視するセンサー、骨髄は赤血球を作る工場に相当する。酸素不足を腎が察知するとEPOという増産指令を送り、赤血球が増えて酸素供給が回復すると指令が弱まる。
仕組み
通常酸素下ではHIF-αがプロリン水酸化を受け、VHL蛋白に認識されて分解される。低酸素ではこの分解が抑えられ、HIFが核内でEPO遺伝子などの転写を促す。EPOは赤芽球系前駆細胞のEPO受容体へ結合し、JAK2–STAT経路を介してアポトーシスを抑制し、分化を進める。網赤血球増加はEPO刺激後の骨髄反応を反映する。赤血球量が増えて組織酸素化が改善するとHIF活性とEPO産生は低下する。十分な鉄、葉酸、ビタミンB12、正常な骨髄がなければEPOが高くても有効な造血は進まない。
例
急性出血後、循環血液量が補われても酸素運搬能は低下するためEPOが上昇し、数日後に網赤血球が増える。慢性腎臓病ではEPO産生が不十分となり、正球性貧血の一因になる。