定義
細胞外基質リモデリングは、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、基底膜を時間・空間的に分解、合成、架橋し、組織構築と力学的性質を変える過程である。マトリックスメタロプロテアーゼMMPはZn²⁺依存性タンパク質分解酵素群で、細胞外基質だけでなくサイトカイン、増殖因子、受容体も切断する。MMP活性は前駆体活性化、局在、組織メタロプロテアーゼ阻害因子によって厳密に調節される。
イメージ
細胞外基質を固定された足場ではなく、絶えず改修される建物と考える。古い壁を壊すMMPと、新しい基質を作る線維芽細胞が釣り合えば修復できる。壊しすぎれば組織が弱くなり、作りすぎれば線維化する。
仕組み
MMPは不活性前駆体として分泌されるか膜へ結合し、限定分解を受けて活性化される。コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメライシン、膜型MMPなどが異なる基質選択性を持ち、TIMP1~4が活性型MMPを阻害する。炎症時にはサイトカイン、活性酸素、プラスミンがMMP発現・活性を高め、基質へ結合したTGF-βやVEGFなどを遊離させる。線維芽細胞と筋線維芽細胞はTGF-βと機械刺激に応じてコラーゲンやフィブロネクチンを産生し、リシルオキシダーゼが架橋を強める。基質分解断片そのものが免疫・血管反応を誘導することもある。創傷治癒では一時的な再構築後に収束するが、刺激が持続すると線維化または破壊性変化へ進む。
例
心筋梗塞後は、壊死組織除去、肉芽組織形成、コラーゲン瘢痕成熟の各段階でMMPとTIMPの均衡が変化する。腫瘍細胞と間質細胞は基底膜分解と増殖因子放出を通じて浸潤を支える。動脈瘤では弾性板とコラーゲンの分解が血管壁脆弱化へ関与する。