定義
細胞外小胞とは、細胞から放出され、自己複製能を持たない脂質二重膜の粒子の総称である。エンドソーム内の多小胞体から放出されるエクソソーム、形質膜から外向きに出芽するマイクロベシクル、細胞死に伴うアポトーシス小体などが含まれる。内容物を分解から守りながら、近傍または遠隔の細胞へ情報を運ぶ。
イメージ
細胞が裸のRNAやタンパク質を体液中へ放り出すのではなく、小さな膜包みに封入して発送する仕組みと考えるとよい。包みの表面分子が届きやすい細胞を左右し、受け取る細胞は膜融合、取り込み、受容体結合によって内容を読み取る。
仕組み
エクソソーム形成では、エンドソーム膜が内側へ出芽して腔内小胞を作り、多小胞体が形質膜と融合すると小胞が細胞外へ放出される。ESCRT複合体、テトラスパニン、セラミドなどが内容物の選別と膜変形に関与する。マイクロベシクルは、細胞内Ca²⁺上昇、細胞骨格再編、リン脂質分布の変化によって形質膜が外向きに出芽して形成される。内容物には膜受容体、酵素、miRNA、mRNA、DNA断片、脂質メディエーターなどが含まれ、放出細胞の状態を反映する。受け取る細胞では、表面分子と受容体の結合、膜融合、エンドサイトーシス後の内容物放出によって遺伝子発現や代謝が変化する。ただし体液中ではリポタンパク質やタンパク質凝集体と性質が重なるため、分離した粒子集団は不均一になりやすい。
例
活性化血小板、免疫細胞、腫瘍細胞はそれぞれ異なる細胞外小胞を放出し、凝固、炎症、免疫調節、腫瘍周囲組織の変化へ影響する。血液、尿、髄液中の小胞に含まれるRNAやタンパク質は組織状態を反映する可能性があるため、バイオマーカー候補となるが、採取法と分離法の標準化が必要である。