定義
一次消失では消失速度が薬物濃度に比例し、クリアランスと半減期が一定となる。ゼロ次消失では消失経路が飽和し、濃度にかかわらず単位時間あたりほぼ一定量しか消失できず、見かけのクリアランスは濃度上昇とともに低下する。
イメージ
一次消失は、残っている人数の一定割合が毎時退出する会場である。人が多いほど退出者数も多い。ゼロ次消失は出口が満員で、毎時10人しか出られない会場に相当し、入場が少し増えただけでも会場内人数が急増し得る。
仕組み
一次消失ではdA/dt = −kAとなり、濃度は指数関数的に低下する。多くの薬物は治療濃度域でこの近似に従う。代謝酵素や輸送体が飽和するとMichaelis–Menten型の消失となり、低濃度では一次に近いが、濃度がKmを大きく超えると消失速度はVmaxへ近づきゼロ次に近くなる。その結果、投与量をわずかに増やしただけで定常濃度が不釣り合いに上昇し、半減期も一定でなくなる。
例
飽和性代謝を示す薬物では、投与量を10%増やしても血中濃度が10%だけ上がるとは限らない。濃度測定と臨床所見を確認しながら小刻みに調整する必要がある。