定義
糸球体濾過障壁は、血管内皮の有窓構造とグリコカリックス、糸球体基底膜、足細胞足突起間のスリット膜からなる多層構造である。物質の透過性は分子の大きさ、形状、電荷、変形性、障壁構成分子との相互作用によって決まる。高い水透過性を保ちながら、血球とアルブミンなどの大分子タンパク質の濾過を強く制限する。
イメージ
一枚の単純な網ではなく、血球を止める入口、タンパク質を選別する基底膜、足細胞間の最終スリットが直列に並ぶ多段フィルターと考える。穴の大きさだけでなく、表面性状と障壁全体の力学的構造が透過性を決める。
仕組み
有窓内皮は血球の通過を防ぎ、表面グリコカリックスは高分子との相互作用を形成する。糸球体基底膜はIV型コラーゲンとラミニンを主体とする網目構造で、構造支持と分子選別を担う。足細胞はアクチン細胞骨格で足突起を保ち、ネフリン、ポドシンなどからなるスリット膜複合体が濾過孔と細胞内シグナル伝達を形成する。濾過係数は濾過面積と水力学的透過性に依存する。障壁の選択性が失われるとアルブミンなどの濾過が増える。正常でも濾過された少量の低分子タンパク質やアルブミンは近位尿細管で再吸収されるため、尿タンパク量は糸球体での漏出と尿細管処理の両方で決まる。
例
足細胞足突起の癒合では、スリット膜と細胞骨格の機能が変化し、アルブミン優位の蛋白尿が生じ得る。基底膜断裂や構造異常では血尿と蛋白尿が組み合わさることがある。血管内皮障害も血栓性微小血管症などで濾過障壁機能へ影響する。