定義
血糖対抗調節は、脳へのグルコース供給を守るため、血糖低下を感知して内因性糖産生を増やし、末梢での糖利用を抑え、摂食行動を誘発する統合応答である。最初の防御はインスリン分泌低下で、続いてグルカゴンとアドレナリンが急性応答を担い、成長ホルモンとコルチゾールがより遅い時間軸で代謝基質を再配分する。
イメージ
血糖を一定に保つ多重の非常電源と考える。通常の供給が落ちると、まず糖を貯蔵へ回すインスリンを止める。次に肝臓から糖を出すホルモンを作動させ、さらに交感神経症状で本人に食事を取らせる。
仕組み
膵島内および中枢・門脈領域のグルコース感知により、血糖低下に伴ってβ細胞インスリン分泌が抑制される。α細胞グルカゴンと副腎髄質アドレナリンは肝グリコーゲン分解と糖新生を促し、脂肪分解も支援する。交感神経・副腎反応は動悸、振戦、発汗などの警告症状を起こす。さらに成長ホルモンとコルチゾールが蛋白・脂肪代謝を変え、糖利用を抑えながら糖新生基質を確保する。反復低血糖では自律神経応答の閾値が低下方向へ移動し、警告症状と対抗反応が弱くなることがある。
例
絶食初期には肝グリコーゲン分解が中心となり、その後は乳酸、アラニン、グリセロールからの糖新生が比重を増す。インスリン治療中に反復低血糖を経験すると、次の低血糖で交感神経症状が乏しく、神経糖欠乏症状が先行し得る。