定義
GnRHパルスの周波数依存性応答とは、視床下部GnRHニューロンが下垂体門脈へ放出する脈動性信号の間隔と振幅を、下垂体前葉のゴナドトロフが読み取り、LHβ・FSHβ遺伝子発現とホルモン分泌を異なる割合で調節する現象である。一般に速いパルスはLH優位、遅いパルスはFSH優位へ傾けるが、性ステロイドやインヒビンなどの背景条件で変化する。
イメージ
同じホルモンでも、鳴り続ける警報と、間隔を空けた短い信号では受け手の反応が異なる。下垂体はGnRHの総量だけでなく、何分ごとに届くかを読み、月経周期や発達段階に合ったLH・FSH分泌へ変換する。
仕組み
GnRH受容体はGq/11共役型受容体であり、PLC–IP₃–DAG系、細胞内Ca²⁺振動、PKC、MAPKを活性化する。パルス間隔が変わると、ERK活性の持続時間、Egr1、AP-1、NFAT、抑制性転写因子、受容体再利用の時間経過が変化し、LHβ・FSHβ遺伝子の転写が異なる方向へ調節される。アクチビンはFSHβ転写を促進し、フォリスタチンとインヒビンがこれを調節する。性ステロイドによるフィードバックと、キスペプチン・ニューロキニンB・ダイノルフィンを発現するKNDyニューロン群がGnRHパルス発生を制御する。GnRHが持続的に作用すると、受容体内在化や情報伝達の脱共役によってLH・FSHが低下する。このためGnRH作動薬を持続投与すると、初期の一過性上昇後に性腺機能が抑制される。
例
卵胞期初期の比較的遅いGnRHパルスはFSH分泌を支え、卵胞発育に伴ってパルスが速くなるとLH分泌が優位になりやすい。GnRH作動薬を持続投与すると、初期にはLH・FSHが上昇するが、その後は受容体脱感作により低下する。