定義
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)シグナル伝達は、細胞膜を7回貫通する受容体へリガンドが結合し、三量体Gタンパク質のGDP–GTP交換を促すことで、細胞内の酵素、イオンチャネル、セカンドメッセンジャーを制御する情報伝達系である。代表的なGαサブユニットにはGs、Gi/o、Gq/11、G12/13があり、同じリガンドでも受容体サブタイプと細胞内装置によって応答が変わる。
イメージ
受容体を交換機、Gタンパク質を切替スイッチと考えると理解しやすい。細胞外から一つの信号が入ると、受容体が複数のGタンパク質を順に作動させ、それぞれが別の増幅回路へ信号を渡すため、小さな刺激でも大きく多様な細胞応答を生み出せる。
仕組み
リガンドが結合するとGPCRの立体構造が変化し、Gαサブユニットに結合したGDPがGTPへ置換される。活性化したGα-GTPとGβγは、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼC、各種イオンチャネルなどを調節する。Gsは一般にcAMP産生を増やし、Giは抑え、Gq/11はホスホリパーゼCを介してIP₃・ジアシルグリセロール経路を作動させる。Gαが持つGTP加水分解活性によりGTPがGDPへ戻ると、三量体が再形成されて信号は終息する。さらに受容体リン酸化、βアレスチン結合、内在化が脱感作を担い、刺激が続いても過剰な応答が起こらないよう調節する。
例
心筋のβ₁アドレナリン受容体はGsを介してcAMP–PKA経路を活性化し、Ca²⁺流入と筋小胞体のCa²⁺回転を高めて心拍数・収縮力を増加させる。一方、洞房結節のM₂ムスカリン受容体はGiとGβγを介してcAMP産生を抑え、K⁺チャネルを開いて心拍数を低下させる。