定義
がんのホールマークは、異なる腫瘍が共有する生物学的能力を、持続的増殖、増殖抑制回避、細胞死抵抗、複製永続化、血管新生、浸潤・転移、代謝再編成、免疫回避などとして整理する概念である。
イメージ
腫瘍を一つの変異で説明するのではなく、長く生き、増え、栄養を得て、移動し、監視から逃げるために必要な能力の組合せとして見る設計図である。
仕組み
腫瘍細胞は増殖因子を自律産生したり受容体・下流経路を活性化して増殖信号を持続させる。RB・p53などを失い増殖抑制と細胞死を回避し、テロメラーゼで複製限界を超える。低酸素応答やVEGFで血管新生を促し、接着・基質分解・運動性を変えて浸潤転移する。Warburg効果を含む代謝再編成で生合成と酸化還元を支え、免疫チェックポイントや抗原提示低下で免疫排除を逃れる。ゲノム不安定性と腫瘍促進性炎症はこれら能力を獲得しやすくする。腫瘍微小環境の線維芽細胞、免疫細胞、血管も能力形成に関与する。
例
同じ臓器の腫瘍でも、ある例は増殖信号依存性、別の例はDNA修復不全や免疫回避が中心となる。治療標的はどのホールマークに依存するかで変わる。