定義
hCGによる黄体維持とは、着床後に合胞体栄養膜から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピンがLH受容体を刺激し、通常なら退縮する黄体を妊娠黄体として維持してプロゲステロン産生を継続させる機構である。黄体–胎盤移行は、妊娠維持に必要なプロゲステロン産生の主役が黄体から胎盤へ移る過程をいう。
イメージ
排卵後の黄体は、妊娠が成立しなければ短期間で働きを止める。着床した胚の周囲にできる合胞体栄養膜がhCGという継続信号を送り、胎盤のホルモン産生能力が十分に整うまで黄体を働かせ続ける。
仕組み
受精卵が胚盤胞となって着床すると、栄養膜が分化して合胞体栄養膜からhCGが分泌される。hCGはLHと共通のαサブユニットをもち、特異的なβサブユニットと長い半減期によってLH受容体を持続的に刺激する。黄体ではStAR、コレステロール輸送、プロゲステロン合成が維持され、子宮内膜の脱落膜化と子宮筋の静穏化が保たれる。hCGは妊娠初期に急増し、おおむね妊娠8〜10週頃に頂値となった後に低下する。胎盤栄養膜が母体コレステロールを利用して十分なプロゲステロンを作れるようになると、妊娠維持の黄体依存性が低下する。血中hCG値は、栄養膜量、産生量、体内からの消失を合わせた結果である。
例
妊娠初期に黄体機能が失われると、黄体–胎盤移行前ではプロゲステロン不足の影響が大きいが、胎盤産生が確立した後は影響が小さくなる。妊娠検査薬は尿中hCG関連抗原を検出し、着床後の栄養膜活動を間接的に示す。