定義
Hippo–YAP/TAZ経路は、MST1/2–LATS1/2キナーゼカスケードが転写共役因子YAP/TAZのリン酸化・局在を制御する情報伝達である。細胞接触、極性、細胞骨格張力、基質硬度、代謝状態を統合し、増殖・生存・幹細胞性・組織再生を調節する。
イメージ
組織の「混み具合」と「足場の硬さ」を測る増築許可装置と考えられる。細胞が密で張力が低いとHippoが作動し、YAP/TAZは核へ入れない。空間があり張力が高いとYAP/TAZが核へ入り、増殖・修復プログラムを進める。
仕組み
Hippo経路が活性化されるとMST1/2と補助因子SAV1がLATS1/2を活性化し、LATSがYAP/TAZをリン酸化する。リン酸化YAP/TAZは14-3-3に結合して細胞質へ保持されるか分解される。経路が抑制されるとYAP/TAZは核へ移行し、TEAD転写因子と複合体を作る。接着結合、細胞極性蛋白、GPCR、F-actin張力、インテグリン、核膜への機械力が入力となる。したがって同じ増殖因子濃度でも組織構造と力学環境により応答が変わる。
例
肝切除後などの組織再生ではYAP/TAZ活性が一時的に上昇し、細胞増殖を支える。硬い腫瘍間質や細胞極性喪失ではYAP/TAZが持続的に核へ入り、増殖・治療抵抗性に寄与し得る。