定義
肥大は、細胞内タンパク質と細胞小器官の増加により細胞サイズが増大する適応性変化である。生理的刺激にも病的負荷にも起こり、過形成と併存することがある。
イメージ
同じ人数の作業員が一人ずつ大型化し、設備を増やして多い仕事へ対応する状態に相当する。人数が増える過形成とは区別する。
仕組み
機械的伸展、増殖因子、血管作動性物質などが受容体とメカノセンサーを刺激し、PI3K–Akt、MAPK、カルシニューリン–NFATなどの経路を介して蛋白合成と遺伝子発現を増やす。心筋ではサルコメアが増え、圧負荷では主に並列、容量負荷では主に直列方向への追加が形態に影響する。生理的肥大では血管新生と代謝適応が比較的保たれるが、病的肥大では胎児型遺伝子再発現、線維化、毛細血管不足、エネルギー代謝異常が進み、代償から機能不全へ移行し得る。
例
筋力トレーニングでは骨格筋線維が肥大する。高血圧の持続では左室心筋が圧負荷へ適応して肥大するが、長期には拡張障害や心不全の基盤となる。