定義
インフラマソームは、NLRP3やAIM2などの細胞質センサー、連結分子ASC、カスパーゼ1を中心に形成される多タンパク質複合体である。病原体由来分子や細胞障害に伴う危険シグナルを認識すると、炎症性サイトカインを成熟させ、膜に孔を形成する炎症性細胞死であるパイロトーシスを起こす。
イメージ
細胞内に設置された火災報知器を考えるとよい。危険を感知すると、まず警報物質を使える形に切り替え、さらに細胞膜へ孔を開けて警報物質と細胞内容物を周囲へ放出する。感染細胞を排除できる一方、反応が過剰になると組織炎症を増幅する。
仕組み
NLRP3インフラマソームの活性化では、多くの場合二段階の制御がみられる。準備段階では、Toll様受容体などからNF-κBが活性化され、NLRP3、IL-1β前駆体、IL-18前駆体などの発現が高まる。続く活性化段階では、細胞外ATP、K⁺流出、結晶、リソソーム損傷、ミトコンドリア障害などが引き金となり、NLRP3、ASC、カスパーゼ1前駆体が集合する。活性化したカスパーゼ1はIL-1β・IL-18前駆体を切断して成熟型とし、同時にガスダーミンDを切断する。ガスダーミンDのN末端断片は細胞膜で多量体化して孔を形成し、イオン恒常性の破綻、細胞膨化、膜破裂を起こす。細胞内容物や損傷関連分子パターンも放出され、炎症が増幅される。細胞内リポ多糖をカスパーゼ4・5が直接認識するヒトの非標準経路も、ガスダーミンD切断を介してNLRP3活性化へつながる。
例
尿酸結晶、コレステロール結晶、シリカなどはNLRP3を活性化し、微生物が存在しない状況でも炎症を起こし得る。細胞内細菌感染では、感染細胞がパイロトーシスにより破裂し、病原体が好中球などに捕捉されやすくなる。