定義
細胞内蓄積は、正常物質の代謝・除去が追い付かない、異常な内因性物質を分解できない、外来物質を処理できない場合に、細胞質や細胞小器官へ物質が増える現象である。対象にはトリグリセリド、コレステロール、タンパク質、グリコーゲン、リポフスチン、メラニン、ヘモジデリン、炭粉などが含まれる。蓄積物は、ほぼ無害な過去の障害指標から、細胞機能を直接障害する物質まで幅がある。
イメージ
細胞内物流で、入荷過多、加工装置の故障、梱包不良、廃棄装置不足のいずれかが起こると倉庫へ物がたまると考える。何がたまったかだけでなく、なぜ排出・分解できなかったかを考えることが重要である。
仕組み
正常な内因性物質でも、脂肪酸供給過剰やタンパク質再吸収増加などにより蓄積する。変異タンパク質は折り畳み・輸送異常によって小胞体へ残り、凝集体を形成することがある。リソソーム酵素欠損では基質がリソソーム内へ蓄積し、オートファジーによる分解も妨げる。リポフスチンは脂質過酸化に由来する難分解性残渣がリソソームへ蓄積した加齢性色素である。ヘモジデリンはフェリチン集合体として鉄を貯蔵する。メラニンはメラノサイト由来、ビリルビンはヘム代謝由来、炭粉は外来粒子をマクロファージが貪食したものである。障害の程度は、物質の化学的性質、量、局在、反応性で決まる。
例
大量蛋白尿では、近位尿細管細胞へ再吸収されたタンパク質が滴状に蓄積することがある。局所出血後にはマクロファージへヘモジデリンが蓄積し、全身性鉄過剰では複数臓器へ沈着する。加齢細胞のリポフスチンは過去の酸化障害を示すが、少量なら必ずしも機能障害を意味しない。