定義
細胞内Ca2+過負荷は、通常低く保たれる細胞質Ca2+濃度が持続的に上昇する病的状態である。虚血、毒性、膜損傷により細胞外または細胞内貯蔵庫からCa2+が流入し、複数の傷害経路を活性化する。
イメージ
Ca2+は短い合図として使うべき信号だが、警報が鳴り続けると多数の装置が同時に暴走する。濃度だけでなく、上昇の場所と持続時間が重要である。
仕組み
ATP低下でCa2+-ATPaseが働かなくなり、細胞膜・小胞体から細胞質へCa2+が増える。高Ca2+はホスホリパーゼを活性化して膜リン脂質を分解し、プロテアーゼで細胞骨格・膜蛋白を切断し、エンドヌクレアーゼでDNAを断片化し、ATPaseで残存ATPを消費する。ミトコンドリアへのCa2+流入は透過性遷移孔開口、膜電位消失、ROS増加を促す。カルパインやカスパーゼなどの酵素も活性化され、壊死・アポトーシスへ進む。生理的Ca2+シグナルは局所的・一過性だが、病的過負荷は広範・持続的である。
例
心筋虚血後の再灌流ではNa+/Ca2+交換や小胞体機能の異常からCa2+過負荷が生じ、過収縮、ミトコンドリア障害、不整脈に関与する。