定義
NAD⁺とNADP⁺は水素化物イオン相当の2電子を受け取り、それぞれNADH、NADPHとなる可溶性補酵素である。NAD系は酸化型優位に保たれて基質酸化を受け入れ、NADPH系は還元型優位に保たれて脂質合成、グルタチオン還元、活性酸素処理などへ還元力を供給する。
イメージ
NAD⁺は代謝で回収した電子を発電所へ運ぶ空のトラック、NADPHは合成や防御へすぐ電子を渡せる満載のトラックと考えるとよい。リン酸基の有無は電子化学を変えず、酵素が二つの用途を識別する標識になる。
仕組み
NAD⁺は解糖系、ピルビン酸脱水素酵素、クエン酸回路、β酸化で還元され、NADHは電子伝達系複合体Iへ電子を渡す。NADPHはペントースリン酸経路、リンゴ酸酵素、細胞質イソクエン酸脱水素酵素などで作られ、脂肪酸・コレステロール合成、シトクロムP450、NO合成、呼吸バーストに使われる。グルタチオン還元酵素はNADPHで酸化型グルタチオンを還元し、赤血球を酸化障害から守る。細胞はNADH/NAD⁺比を低く、NADPH/NADP⁺比を高く保つことで異化と同化を方向づける。
例
赤血球ではペントースリン酸経路由来NADPHが還元型グルタチオンを維持する。G6PD活性が不足すると酸化ストレス下でヘモグロビンや膜タンパク質が障害されやすい。