定義
NF-κBシグナルは、TLR、TNF受容体、抗原受容体など多様な入力を、炎症性サイトカイン、接着分子、抗アポトーシスタンパク質の転写へ変換する経路である。安静時のNF-κBはIκBにより細胞質へ保持され、刺激後のIκBリン酸化・分解によって核移行可能となる。
イメージ
NF-κBは緊急時に開かれる遺伝子司令室の鍵に近い。通常はIκBという留め具で封じられているが、感染や組織障害が検知されると留め具が分解され、炎症応答に必要な多数の遺伝子を一斉に起動する。
仕組み
典型経路ではTLR、IL-1受容体、TNF受容体などがアダプターとユビキチン足場を形成し、TAK1を介してIKK複合体を活性化する。IKKβはIκBαをリン酸化し、ユビキチン化・プロテアソーム分解を促す。遊離したp65/p50二量体が核へ移行し、標的遺伝子を転写する。新たに合成されたIκBαがNF-κBを再び核外へ運ぶため、応答は振動し得る。非典型経路ではNIK–IKKαによりp100がp52へ処理され、リンパ組織形成などを調節する。
例
細菌成分をTLRが感知するとNF-κB依存性にTNF、IL-1、IL-6、接着分子が誘導される。慢性的なNF-κB活性化は炎症の持続や腫瘍細胞の生存に寄与し得る一方、過度に抑えると感染防御が低下する。