定義
卵母細胞の減数分裂休止は二段階で起こる。胎生期に減数分裂を開始した一次卵母細胞は前期I複糸期で長期間休止する。排卵前に減数分裂Iを完了した二次卵母細胞は中期IIで再び停止する。LHサージが第一の休止を解除し、精子侵入に伴うCa²⁺振動が第二の休止を解除する。
イメージ
卵母細胞の減数分裂は一度に終わらず、二つの待機点で止まる。卵胞から排卵準備完了の信号が来ると第一段階が進み、実際に受精した時だけ最後まで完了する。これにより、染色体分配と胚発生開始の時期をそろえられる。
仕組み
発育卵胞では顆粒膜細胞・卵丘細胞からギャップ結合を介してcGMPが卵母細胞へ供給され、PDE3Aが抑えられてcAMP高値が保たれる。cAMP–PKA活性はCDK1–サイクリンB複合体である卵成熟促進因子を不活性に保ち、卵核胞期の休止を維持する。LHサージは壁側顆粒膜細胞に上皮成長因子様因子を誘導し、ギャップ結合とNPR2由来cGMPを低下させる。卵母細胞内cAMPが下がると卵成熟促進因子が活性化し、卵核胞崩壊、染色体分離、第一極体放出へ進む。中期II休止はMos–MAPK系とEmi2がAPC/Cを抑制し、サイクリンBを維持することで成立する。受精後、精子由来PLCζによる反復Ca²⁺上昇がCaMKIIを活性化し、Emi2分解とAPC/C活性化を通じて減数分裂IIを完了させる。
例
排卵された卵母細胞は減数分裂中期IIで停止しており、受精がなければ分裂を完了しない。体外受精では第一極体の確認が減数分裂I完了の目安となる。加齢に伴って姉妹染色分体間接着を担うコヒーシンが劣化すると、染色体分配異常が増え得る。