定義
膵外分泌は、腺房細胞による消化酵素・酵素前駆体の分泌と、導管細胞によるHCO₃⁻に富む等張液の分泌からなる。食事に応じて、迷走神経由来アセチルコリン、十二指腸I細胞由来コレシストキニン、S細胞由来セクレチンが協調し、酵素量、液量、pHを調節する。これにより栄養素分解に必要な酵素と、胃酸を中和するアルカリ性液が十二指腸へ供給される。
イメージ
膵液は一種類の液ではない。腺房細胞が消化の道具である酵素を出し、導管細胞がそれを流して十二指腸を中和するHCO₃⁻液を加える。脂肪・タンパク質が来れば酵素を増やし、酸が来れば中和液を増やす。
仕組み
腺房細胞では、アセチルコリンM₃受容体とコレシストキニン1受容体がGq–IP₃–Ca²⁺経路を介して、管腔側の酵素顆粒放出を促す。タンパク質分解酵素は主にトリプシノーゲンなどの不活性前駆体として貯蔵され、リソソーム酵素との隔離やSPINK1などによって膵内活性化を防ぐ。導管細胞では、セクレチン–Gs–cAMP経路がCFTRを活性化し、Cl⁻/HCO₃⁻交換を駆動する。炭酸脱水酵素と基底側Na⁺–HCO₃⁻共輸送体がHCO₃⁻を供給し、分泌流量が増えるほど膵液中HCO₃⁻濃度が高くなる。アセチルコリン・コレシストキニンとセクレチンは相乗的に働き、頭相、胃相、腸相のうち腸相が最も大きい。
例
酸性胃内容が十二指腸へ入るとセクレチンが分泌され、HCO₃⁻分泌によってpHが上がる。脂肪酸とアミノ酸はコレシストキニンを介して膵酵素分泌と胆嚢収縮を促す。CFTR機能障害では導管液とHCO₃⁻分泌が低下し、濃厚な分泌物と膵管閉塞が生じやすい。