定義
近位尿細管の低分子タンパク質回収とは、糸球体濾液に含まれる低分子タンパク質と少量のアルブミンを、管腔側の受容体依存性エンドサイトーシスで取り込み、エンドソーム–リソソーム系で分解し、アミノ酸として血側へ戻す仕組みである。中心となる受容体はメガリン、キュビリン、アムニオンレスで、正常尿中タンパク質を低く保つ。
イメージ
糸球体の濾過膜をすり抜けた小さなタンパク質を、そのまま尿へ捨てず、近位尿細管が回収箱で拾う。細胞内へ運ばれたタンパク質はアミノ酸まで分解され、再利用される。回収系が壊れると、糸球体が正常でも低分子タンパク尿が生じる。
仕組み
刷子縁にあるメガリンは多数の分子へ結合するエンドサイトーシス受容体である。キュビリンは膜貫通部を持たず、アムニオンレスなどと複合体を形成する。β₂ミクログロブリン、α₁ミクログロブリン、レチノール結合タンパク質、ビタミン運搬タンパク質、ホルモン結合タンパク質、少量のアルブミンが結合し、クラスリン依存性エンドサイトーシスで初期エンドソームへ入る。酸性化によって受容体とタンパク質が解離し、受容体は管腔側膜へ再利用され、取り込まれたタンパク質はリソソームで分解される。生じたアミノ酸は基底側輸送体から間質へ戻る。Fanconi症候群、Dent病、薬剤性尿細管障害などで回収が障害されると尿細管性蛋白尿が生じる。糸球体からのアルブミン漏出が多い場合には回収能が飽和する。
例
正常糸球体を通過するβ₂ミクログロブリンは、ほぼ近位尿細管で回収されるため、尿中増加は近位尿細管機能障害の指標となる。多発性骨髄腫で過剰な免疫グロブリン軽鎖が濾過されると、回収能を超えて尿中へ出るだけでなく、近位尿細管細胞への毒性も生じる。