定義
Rapoport–Luebering回路は赤血球特有の解糖側路で、1,3-ビスホスホグリセリン酸を2,3-ビスホスホグリセリン酸へ変換し、3-ホスホグリセリン酸へ戻す。2,3-BPGは脱酸素型ヘモグロビンの中央腔へ結合し、T状態を安定化して酸素解離曲線を右方移動させる。
イメージ
赤血球がATPを作る本線から一部の流れを迂回させ、代わりに「酸素を離しやすくする調節分子」を作るバイパスと考える。エネルギー収益と酸素輸送効率を交換している。
仕組み
ビスホスホグリセリン酸ムターゼが1,3-BPGから2,3-BPGを作り、2,3-BPGホスファターゼが3-PGへ変換する。この迂回では本来ホスホグリセリン酸キナーゼで得られるATPが作られない。2,3-BPGは成人HbAのβ鎖間へ結合して脱酸素型を安定化し、P50を上昇させる。低酸素、高地、貧血では2,3-BPGが増え、組織酸素放出を促進する。胎児Hbはγ鎖を持ち2,3-BPG結合が弱いため、母体血から酸素を受け取りやすい。保存血では時間とともに2,3-BPGが低下する。
例
高地順応では数日かけて赤血球2,3-BPGが増加し、肺での取り込み低下を一部代償して末梢組織への酸素放出を促す。