定義
腎酸素化は、腎血流による酸素供給と尿細管Na⁺再吸収に必要な酸素消費の均衡で決まる。腎臓全体の血流量は多いが、その大部分は皮質へ分布し、髄質血流は比較的少ない。さらに直血管の対向流配置による酸素の短絡と、近位尿細管S3部・Henle係蹄太い上行脚の高い輸送需要により、外髄は正常時から低い酸素分圧で働いている。
イメージ
腎臓は血液が多く流れるため酸素に余裕があるように見えるが、血流の多くは濾過のため皮質へ向かう。髄質は尿濃縮に必要な浸透圧勾配を保つため血流が少なく、しかもNa⁺ポンプが多くの酸素を使うため、需給がぎりぎりになりやすい。
仕組み
腎酸素消費の大部分は、基底側Na⁺/K⁺-ATPアーゼを介する能動的Na⁺再吸収に結び付く。糸球体濾過量と濾過Na⁺量が増えると、尿細管の再吸収仕事量も増える。髄質血流を過度に増やすと腎髄質浸透圧勾配が洗い流されるため、直血管血流は低く保たれる。下行・上行直血管が並走する構造では、酸素が深部へ到達する前に血管間を拡散して短絡し得る。低灌流、低酸素血症、貧血、静脈うっ血、酸化ストレスが重なると、S3部と太い上行脚でATP不足が起こりやすい。糸球体濾過量低下は障害所見である一方、濾過Na⁺量を減らして酸素需要を下げる防御的側面も持つ。
例
出血、敗血症、心不全、造影剤曝露などでは、腎灌流と微小循環が変化し、外髄低酸素が急性尿細管障害へ関与し得る。ループ利尿薬はNKCC2を抑制して太い上行脚の輸送仕事量と酸素消費を減らすが、体液量や血行動態への影響も同時に考える必要がある。