定義
呼吸商(RQ)は、定常状態で組織が産生するCO₂量を消費するO₂量で割った比である。呼吸交換比(RER)は、呼気で測定したVCO₂/VO₂で、安静かつ定常状態ではRQへ近似する。糖質酸化では約1.0、脂肪酸酸化では約0.7、タンパク質酸化ではおおむね0.8前後となる。
イメージ
燃料ごとに、酸素をどれだけ使って二酸化炭素をどれだけ出すかが異なる。糖質は取り込んだO₂とほぼ同数のCO₂を出すが、脂肪はより多くのO₂を必要とするため比が小さい。呼気を測れば、身体がどの燃料を主に使っているかを間接的に推定できる。
仕組み
RQは基質酸化の化学量論に由来する。グルコースでは「C₆H₁₂O₆ + 6O₂ → 6CO₂ + 6H₂O」であるためRQ=1.0となる。代表的な脂肪酸ではO₂消費量に対してCO₂産生量が少なく、約0.7となる。タンパク質酸化では窒素排泄を伴うため、厳密には尿中窒素を補正する。間接熱量測定では吸気・呼気中O₂とCO₂からVO₂、VCO₂を求め、RERとエネルギー消費量を推定する。激しい運動では乳酸緩衝によってHCO₃⁻から余分なCO₂が生じ、過換気も加わるためRERが1を超えることがある。長期絶食やケトン体利用優位では低下し、過剰な糖質摂取と脂肪新生では1を超える場合がある。
例
安静空腹時のRERが0.72なら脂肪酸酸化優位を、食後に0.95へ上昇すれば糖質利用増加を示唆する。運動負荷中にRERが1.10へ上昇しても、細胞内の化学的呼吸商が1.10という意味ではなく、乳酸緩衝と換気応答を含む。