定義
時定数τは『気道抵抗R × コンプライアンスC』で表される。圧変化を加えた後、肺容量変化が最終値の約63%へ達するまでの時間が1時定数で、約3時定数で95%程度へ近づく。肺内で時定数が異なると換気の分布が不均一になる。
イメージ
細いストローにつないだ柔らかい風船は、空気を入れるにも出すにも時間がかかる。太い管につないだ硬い風船は短時間で変化する。管の通りにくさと風船の伸びやすさを掛け合わせたものが時定数である。
仕組み
閉塞性障害では気道抵抗が上昇して時定数が長くなり、呼気時間が不足すると肺内に空気が残って動的過膨張を生じる。肺線維症などではコンプライアンスが低く、時定数は短くなりやすいが、必要な換気量を得るには大きな圧が必要となる。異なる肺区域がそれぞれ異なる時定数を持つと、短い呼吸では時定数の短い区域が優先的に換気され、ゆっくり呼吸すると時定数の長い区域にも空気が届く。人工呼吸では吸気時間・呼気時間の設定が充満と排出へ直接影響する。 並列する肺区域の時定数が不均一な場合、吸気や呼気の途中で区域間のガス移動が起こることがあり、見かけの換気効率をさらに低下させる。人工呼吸器設定では、長い時定数を持つ区域へ十分に吸気させることと、呼気を完了させることの両方を考える必要がある。
例
重症COPDでは呼気時定数が長く、呼気時間が短いと呼気終末までに十分排気できず、内因性PEEPと動的過膨張が生じる。肺線維症では速く浅い呼吸が選ばれやすい。