定義
RIG-I–MAVS経路は、RIG-IやMDA5などの細胞質RNAセンサーがウイルス複製に伴う異常RNA構造を認識し、ミトコンドリア外膜上のアダプターMAVSを介してTBK1–IRF3/7経路とIKK–NF-κB経路を活性化する自然免疫機構である。感染細胞自身を抗ウイルス状態へ変えるとともに、周囲細胞と獲得免疫系へ警報を伝える。
イメージ
細胞質でRNAの品質検査を行い、宿主mRNAには少ない5′三リン酸末端や長い二本鎖RNAを見つけると、ミトコンドリア表面のMAVSへ非常信号を送り、インターフェロン産生を開始する。
仕組み
RIG-Iは比較的短い二本鎖RNAや5′三リン酸・二リン酸を持つRNAを認識しやすく、MDA5は長い二本鎖RNAを主に認識する。RNA結合によってヘリカーゼ領域の構造が変わると、CARD領域が露出して多量体化し、MAVSのCARD領域へ結合する。MAVSは線維状集合体を形成し、TRAF、TBK1、IKKε、IKK複合体を集める。IRF3・IRF7とNF-κBがI型・III型インターフェロンと炎症性サイトカインを誘導し、分泌されたインターフェロンがJAK–STAT経路を介して抗ウイルス遺伝子を発現させる。LGP2、ユビキチン化酵素、脱リン酸化酵素などが反応の強さを調節し、多くのウイルスはこの経路を妨害する因子を持つ。
例
RNAウイルス感染細胞では、RIG-IまたはMDA5の認識からインターフェロンβが分泌され、周囲細胞へ抗ウイルス状態が広がる。ウイルスはMAVS切断、IRF3阻害、RNA末端修飾などで回避することがあり、どのセンサーが重要かはウイルス種によって異なる。