定義
二次能動輸送は、Na⁺やH⁺などの駆動イオンが電気化学勾配に沿って移動するときに放出する自由エネルギーを利用し、別の物質をその勾配に逆らって運ぶ膜輸送である。二つの物質を同じ方向へ運ぶものを共輸送、反対方向へ運ぶものを交換輸送という。輸送体自身は通常ATPを直接分解しないが、駆動イオンの勾配は一次能動輸送によって維持される。
イメージ
坂を下る荷物と、坂を上げたい別の荷物をロープで結ぶイメージである。最初の荷物が自然に下る力を利用して、もう一方を不利な方向へ運ぶ。輸送体は直接電池を使わないが、坂そのものを作ったのはATPを使う一次ポンプである。
仕組み
多くの動物細胞ではNa⁺/K⁺-ATPaseが細胞外高Na⁺・細胞内低Na⁺の状態を作る。Na⁺が細胞内へ流入する方向には大きな電気化学的駆動力があるため、SGLTはNa⁺とグルコースを同方向へ共輸送し、Na⁺依存性アミノ酸輸送体も同じ原理で働く。Na⁺/Ca²⁺交換体やNa⁺/H⁺交換体では、Na⁺流入とCa²⁺またはH⁺の排出が反対方向に結び付けられる。輸送の向きと強さは、各物質の濃度、膜電位、輸送比で決まり、心筋のNa⁺/Ca²⁺交換体のように条件次第で逆向きに働く輸送体もある。
例
近位尿細管では、基底側のNa⁺/K⁺-ATPaseがNa⁺勾配を保ち、管腔側のSGLTがNa⁺とグルコースを細胞内へ取り込む。取り込まれたグルコースは基底側のGLUTを介した促進拡散で血液側へ移るため、上皮全体として管腔から血液への再吸収が成立する。