定義
ネフロン分節別Na⁺輸送は、糸球体で濾過されたNa⁺を、近位尿細管、Henle係蹄、遠位尿細管、集合管がそれぞれ固有の管腔側輸送体と基底側Na⁺/K⁺-ATPアーゼを用いて再吸収する仕組みである。近位尿細管が大部分を回収し、太い上行脚が腎髄質浸透圧勾配形成に寄与し、遠位尿細管・集合管がホルモン依存性に最終排泄量を調節する。
イメージ
濾過されたNa⁺を一つの装置で回収するのではなく、前半で大量回収し、中盤で尿濃縮に必要な勾配を作り、後半で必要量だけ精密に調整する工程として理解する。各工程で使う輸送体が異なるため、利尿薬の作用部位と電解質への影響も異なる。
仕組み
近位尿細管はNHE3、SGLT、Na⁺と各種溶質の共輸送体を介して、濾過Na⁺の約65~70%を水とともにほぼ等張性に再吸収する。Henle係蹄太い上行脚はNKCC2とROMKを用いて約20~25%を再吸収する。この部位は水透過性が低いため尿を希釈し、腎髄質の高浸透圧形成へ寄与する。遠位曲尿細管はNCCで約5%を再吸収し、集合管主細胞はENaCで残りを微調整する。すべての分節で基底側Na⁺/K⁺-ATPアーゼが駆動力となる。アンジオテンシンIIは近位輸送、アルドステロンはENaCとNa⁺/K⁺-ATPアーゼ、ナトリウム利尿ペプチドは遠位再吸収を調節する。遠位へのNa⁺到達量と尿流量はK⁺・H⁺分泌にも影響する。
例
炭酸脱水酵素阻害薬は近位尿細管、ループ利尿薬はNKCC2、サイアザイド系利尿薬はNCC、ENaC阻害薬と鉱質コルチコイド受容体拮抗薬は集合管へ作用する。上流でNa⁺再吸収が減ると、下流へのNa⁺到達量が増え、代償的再吸収とK⁺排泄が変化する。