定義
短期シナプス可塑性は、シナプス伝達の強さが数ミリ秒から数分の範囲で直前の活動履歴に依存して変化する現象である。短期促通では連続刺激によって後の応答が増大し、短期抑圧では応答が低下する。主な要因はシナプス前終末に残るCa²⁺、放出可能小胞の枯渇と補充、放出装置の状態、シナプス後受容体の脱感作などである。
イメージ
シナプスは、毎回同じ大きさの信号を出す装置ではない。短い間隔で次の刺激が来ると、前回のCa²⁺が残っているため放出が増えやすい。一方、使える小胞が減って補充が追いつかなければ、伝達は弱くなる。どちらが優位になるかで、短い一斉発火を強調するか、持続する入力を弱めるかが決まる。
仕組み
活動電位がシナプス前終末へ到達するたびにCa²⁺が流入する。Ca²⁺が完全に排出・緩衝される前に次の活動電位が来ると、放出装置近傍のCa²⁺濃度が高くなり、神経伝達物質の放出確率が上がって二連刺激促通が生じる。促通の大きさはCa²⁺緩衝能、Ca²⁺チャネルと小胞の距離、シナプトタグミンの種類などに左右される。もともとの放出確率が高いシナプスでは、即時放出可能小胞群が急速に減り、小胞補充が追いつかないため短期抑圧が起こりやすい。さらに、自己受容体、活動電位波形、Ca²⁺チャネル不活化、シナプス後受容体の飽和や脱感作も影響する。促通優位のシナプスは高頻度の一斉発火を通しやすく、抑圧優位のシナプスは入力開始や発火頻度の変化を強調する。
例
放出確率が低い皮質シナプスでは、50ミリ秒程度の間隔で二回刺激すると、二回目の興奮性シナプス後電位が大きくなることがある。一方、放出確率の高いシナプスを高頻度で反復刺激すると、小胞が枯渇して応答が徐々に小さくなる。